建設業における多数当事者による設計手法の契約論的考察

<論文要旨>

 従来の設計・施工分離方式の発注形態の下では、設計者・施工業者の間で水平的な設計と施工の役割分担があり、施工作業を支える下請業者の役割は単なる労務の提供として施工のパートの一部を担うに過ぎないと認識されてきた。しかし、建設プロジェクトの内容の多様化・高度専門家に伴い、プロジェクト中のある部分について垂直的に設計−施工のプロセスを請負う専門業者が、従来下請業者として位置づけられてきた従事者の中に現れてきた。

 このような専門業者により設計作業が分担されることにより、専門的施工技術に関するノウハウが設計に活かされるといったメリットとともに、設計分担の境界での問題の顕在化や、設計作業がインフォーマルに細分化されていることによる責任の所在の不明確化といった問題につながり、適切なマネジメントを行なわないと建設プロジェクト推進において欠陥を生ずる原因となりうる。

 本論文では、このような専門業者による設計作業の細分化について事例研究によって明らかにするとともに、契約論の観点から分析を行ない、品質維持のための契約方式の模索を行なった。

 研究の結果、次のようなことがわかった。

(Feb. 2000)


e-mail:shig@esprix.net

研究のページに戻る

ホームに戻る